総研ノート:コラム
それって「長所」なの?
推薦入試の面接をはじめさまざまな場面で、学生から提出された自己アピールに関する書類をみる機会が多い。それには自分の長所・短所を書く欄が必ず設けられている。そしてかなり多くの者が「決めたことは最後までやり通す」といった内容のことを書く。意志の強さや忍耐強さなどをアピールしたいのだろうという気持ちはわかるのだけれど、それってほんとに「長所」なのかなぁ、と思う。現実の生活の中では、むしろ逆ではないか、と。
つまり、途中で「やめる」ことのほうが、はるかに難しく勇気のいることであり、またさまざまな思考が要求されるはずである。最初に決めたことをやるのは「簡単」。何も考える必要はない。もうやることは決まっているのだから。ところが、そのうち状況が変化し、「決めたこと」が通用しなくなってきたり、その目的の再考が必要になったり・・・・、そのときこそ、その人の姿勢や能力が試されるときである。いかに軌道修正できるか、ある場合には思い切って当初の計画を白紙に戻す勇気だった求められるだろう。では、その後どうするのか、いろいろと状況判断をしながら考えねばならない。まさに臨機応変である。
決めたことをやるのは当たり前。むしろ、せっかく決めたことをいかに壊せるか、そして再構築できるか、そこが大切ではないかと思う。一度決めたことを変更しないというのは、場合によっては「怠慢」である。もちろん、学生を責めているわけではなく、政治家や教育行政において権限を行使しているある人・この人に言いたいわけですが。
「それって実は逆ではないのか」ということを財政を扱う人たちに当てはめてみると・・・、お金を出さない・使わないということは実は簡単で、問題はいかに使うかという点にあるのではないか、と。「出さない」と決めているのであれば、何も考える必要はないし、誰でもできる。どうやって使うか、何に使うかを考えるときにこそ、議論が必要になり、哲学が求められる。仮に総体としては大きな変化がなかったとしても、「いかに減らすか」ではなく、「いかに増やすか」という発想を基盤に据えたときこそ、財政論の出番である。いまの財務省の仕事であれば、たぶん基本的には誰にでもできる。だって削ればいいんでしょ。一律何%というように切っていく実に幼稚な方法も容認されているようだし・・・。どうやって増やすか、それが腕の見せ所ですよね。
2008年12月16日
