総研ノート:世界の各地から

国立ソウル盲学校を訪問して

 2008年9月10日、景福宮西側の文教地区にある国立ソウル盲学校を訪問した。これまで大学、高校、中学校を訪問したことはあったが、日本でいう「特別支援学校」は初めてのことであった。
 その橋渡しをしてくれたのはゼミ生の寺島くんがお世話になっている「イェニエ・ゲストハウス」の金ウンベさんであった。彼女が経営するゲストハウスと盲学校が同じ地域にあるという縁で見学をできるようになったのである。一緒に訪問したのは専修大学のゼミ生と一木玲子さんが所属している愛知みずほ大学の学生だった。

<坂道のある学校>
 ソウルの学校の多くは斜面に建っているのだが、この盲学校も例にもれず、であった。
残暑で暑さは厳しかったが晴天の中、盲学校の門をくぐった。

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左の建物には立派なホールがあった

案内してくださった先生の名前は失念したが、主任的な役割の方であった。右足に少し「障碍」があった(韓国では「害」ではなく「碍」の字になっている)。

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右から、通訳の金さん、案内の先生、そしてパソコンのソフトを使う時に音に変換する仕組みを教えてくれている先生


<幼稚部は統合保育に>
 幼稚部から高等部さらには別キャンパスにある医療科や専攻科を含め、283人の子どもたちが学んでいる。驚いたのは幼稚部である。ここは視覚障碍のある子とない子が半々で一緒に学んでいるということだった。聞いたら、聾学校でも同じ。残念ながらその場面を見ることはできなかった。
 なぜそれが可能か。実は、「障碍」があると判定された子どもたちは大学まですべて無償で教育を受けられるようになっており、あわせて、盲学校や聾学校の幼稚部に入って障碍のある幼児と学ぶ障碍のない幼児も無償で教育を受けられるようになっている、ことが判明した。このすべてが無償という原則は、私立にも、義務教育以外にも適用されるという(「1994年特殊教育振興法」に基づいているようである。)

<幼稚部と高校課程が義務教育化の予定>
 また驚いたことに、韓国では障害児については幼稚園と高校課程にまで義務教育が拡大することが決定された、と聞いた。帰国して調べてみると、以下のような記事が見つかった。
  

教育科学技術部は、2010年度から障害児の義務教育が幼稚園と高校課程に拡大すると25日、明らかにした。これまでは小・中学校が義務教育だった。 障害者義務教育は、2010年度から満5歳以上の幼稚園課程と高校課程、2011年度から満4歳以上の幼稚園課程、2012年度から満3歳以上の幼稚園課程--に拡大する。
 教育科学技術部は特別支援学級には生徒4人につき教員1人を配置するように基準を強化した。(中央日報 Joins.com 2008.05.26 07:17:01)

 

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日本では珍しい白松が校内に

 韓国では周知のように「障碍者差別禁止法」(2007年3月制定、公布年月日は未確認、2008年4月施行)が制定されている。そのため、障碍のある子どもの教育の場は、本人と保護者の意思がかなり尊重される、という話であった(通訳の金さんの話)。結果として、通常学校への在籍者が年々増えつつある。しかし、現状でいうと、特別支援学校:通常学校特別支援学級:通常学級の在籍者(幼稚園から専攻科まで)は22,963(35%):35,340(54%):7,637(11%)となっている。特別支援学校の専攻科の1,447人をひくと、21,516(33%):35,340(55%):7,637(12%)となる。高等学校の一般学級に2,065人在籍しているというのも驚きである(滝川国芳・西牧謙吾「韓国における特殊教育と健康障害教育の動向」【PDF】)
  職員室をちょっと覗いたら、最新式のパソコンがすべての教員の机に配置してあった。もちろん個人ではなく学校で購入したものであった。

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図書室で説明をきく学生たち 

                                          

                                       2008年9月14日記
                                          嶺井 正也

                                           

2008年9月14日