総研ノート:コラム

北欧の光:フィンランドの教育 ~イングランドもスコットランドも注目

 去る2月末から3月初めにかけて、私たちは一行5人でイングランドとスコットランドの訪問調査を行った。日教組からの委託研究で行っている教員労働国際比較研究の細部をつめることが目的であった。その報告書は6月末には完成予定である。
 さて、両国では学校以外に、教育インターナショナル(EI)に加盟しているイングランドのNUTと、スコットランドのスコットランド教育研究所(EIS)、スコットランド中等教員組合を訪問し、インタビューした。この訪問調査にかかわって、興味深いことがあった。

それはNUTが発行している機関誌「教員(The Teacher)」(2008年3月号)と、EISの機関誌「スコットランド教育ジャーナル」第92号(2003年3月発行)に、ともに教育ジャーナリストのダニエル・マーフィ(Daniel Murphy)が書いたフィンランド教育についての報告を元にした記事をもとにして掲載していたことである。
 NUTの「教員」誌では「質が高い。フィンランドの学校は生徒たちに給食を提供している以上のことをサービスしている、とダン・マーフィ(Dan Murphy)が書いている。フィンランドの成功は、英国(Britain)を含む多くの国で支配的になっている教育政策への挑戦である」との見出しで、マーフィの記事を掲載している(詳細1はここをクリック)。

 一方、EISの「スコットランド教育ジャーナル」の大見出しが「北欧の光(Nordic light)」で、中見出しが「フィンランドは国際的な学校比較で依然として輝き続けている」で、小見出しが「フィンランドの学校教育制度の成果(achievements)は最近のOECD・PISA調査の後、国際的な関心を非常に呼んでいる。」とし、「教員」誌以上に詳しい記事を掲載している(詳細2はここをクリック)。

 そこには「ピザへの反発(The PISA Backlash)」という刺激的なコラムもある。それは次のような内容になっている。

 ジュネーブ教育インターナショナルがPISA結果報告書を懐疑的な目で読むようにと親や政策策定者に訴えている。
 フレッド・リューエン(Fred Leeuwen)事務局長は「PISAはある生徒集団がどのように問いに答えているのかについてのスナップ写真を提供することはできる。だが、教育の完全で微妙な全体像を描いてはいないし、それはできないことだ。」と警告を発した。
 OECDの担当官たちは、かれらの調査が政治家やメディアによって表面的なやり方で操られていることにほぞをかんでいる。そして、多くの教育者がPISAのことを自分たちを追い込む圧力にさらに強くするものだと考えている。

 これらの批判はたしかに真理を一部は含んではいるものの、それらの批判もPISAは非常に信頼性の高い厳密な調査であるという事実を変えることはない。結果には保護者の所得がテストの点数に与えている影響から、環境面で課題が山積することになる子どもたちの楽観主義の測定までを含んだ非常に豊富な情報が含まれているのである。

嶺井正也(教育総研所長・専修大学教授)

2008年4月28日