活動報告:夏季研究集会

第19回夏季研究集会:第4分科会「労働と教育」

講師/ 広田 照幸(日本大学)
   / 筒井 美紀(京都女子大学)

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 第4分科会「労働と教育」は、筒井美紀さんによる「どうする?『ガビョウ型』労働市場における学校教育」というテーマによる問題提起を受け、広田照幸さんによるコーディネーターで議論を行った。参加者は約30人。

 筒井さんの問題提起のポイントは、新自由主義的市場化の徹底でかつての「ピラミッド型」の労働市場が「ガビョウ型」になってしまったことを現実として踏まえた上で、学校教育はどういう構造と目的をもってすすめられるべきなのかについて、①新規卒業者が正規雇用される分、他の人々が非正規雇用になってしまう現状を学校としてどう考えるのか、②学校で労働に関する教育を行う場合、最近のキャリア教育みたいに「働くことはいいことだ」だけでいいのか、むしろ「働かされている社会構造」について学ぶようにすることが大事ではないか、③厚生労働省の「今後の労働関係法制度をめぐる教育の在り方に関する研究会」が提起する労働者教育では個別紛争に個別には対応できるかもしれないが、団結や連帯の方向性を見失ってしまうのではないか、④やはり学校教育においては「基礎学力」は徹底して学べるようにすることが必要でないか、をあげた(詳しくは『教育と文化』第56号を参照のこと)。

 この問題提起を受けて、そもそも学校教育や教職員の役割や「基礎学力」とは何であるのか、労働市場の構造を変革していく展望はないのか、ガビョウ型構造の底辺に位置づく労働には大企業関連の非正規雇用だけでなく中小企業の多面的能力を求められる労働も位置づいているのではないか、などの議論があった。また、どんな仕事であっても親が懸命に働いていることを子どもに伝えようとしてきた同和教育の取り組みからすると「労働観」を問い直すことも重要、といった意見もあった。
 
文責者としては、筒井さんは③で団結や連帯の重要性を指摘しているが、④になると個体的学力を強調しており、矛盾するのではないか、そして、自立と共生、あるいは共生と自立の関係(たとえば障害のある人たちや外国人の労働問題を含む)をどう考えていくのかといったこれまで総研で検討してきた問題を深めていく必要があるとも感じつつ議論を聞いていた。
 なお基礎学力問題については、総研の学力研究委員会報告書も参照していただきたい(HPで読むことが可)。
                                           

2009年9月 1日