活動報告:夜間公開研究会

第35回夜間公開講座「子どもの貧困と教育格差」

「子どもの貧困と教育格差~日本の不公平を考える~」

■2009年6月1日(月)18:30~20:30
 日本教育会館 7階 707会議室
 東京都千代田区一ツ橋2-6-2 TEL03-3230-2852(代表)
■主催:財団法人 日本教育会館
■後援:国民教育文化総合研究所
■講演者
 阿部 彩さん(国立社会保障・人口問題研究所国際関係部第2室長)


abeaya.JPG

hinkon.JPG



 6月1日、財団法人日本教育会館主催で、国立社会保障・人口問題研究所の国際関係部第2室長である阿部彩さんの講演が行われた。
 まさに今、各方面から注目されるようになった『子どもの貧困』(岩波新書)の著者ということもあり、予想をはるかに上回る参加者があり、準備したレジュメを急いで増刷するほどであった。新聞社や放送局のスタッフの顔も多く見られた。
 
 講演は、『子どもの貧困』に掲載されたデータを更新したものを数多く提示しながら、先進国と言われる、あるいは自認している日本の子どもたちがおかれている経済的社会的に厳しい状況を明らかにするものであった。つまり、子どもの貧困が「学力」、「健康」、「児童虐待」、「非行」、「疎外感」などとの相関関係が詳しいデータで明確にされたのである。
 
 そもそも「貧困」とは何か。阿部さんは「絶対的貧困」という考え方にたって「日本には貧困問題は存在しない」とする立場を批判しつつ、「人々がある社会の中で生活するためには、その社会の『通常』のレベルから一定距離以内の生活レベルが必要」という「相対的貧困」概念を使うべきとし、「母子世帯の貧困率が高いこと」、「政策による貧困削減効果が少ない」など国際的に比較した日本の問題も抉りだした。
 
 教育会館の主催ということもあり、貧困問題と教育保障の関係にも踏み込み、教育格差の是正には高等教育の無償化などが必要などといった提案も。最後のオバマ大統領の教育改革案やイングランドの「子ども貧困撲滅」政策にも触れつつ、「子どもの貧困撲滅のための11のステップ」を提言した。
 その後、活発な質疑が行われ、今後ともこのテーマにかかわる公開講座への要望が強いことを確認して、会が閉ざれた。

2009年6月26日