活動報告:夏季研究集会

第18回夏季研究集会

主催 国民教育文化総合研究所
日時 2008年7月26日(土)13:00~7月27日(日)12:00
会場 TKPコンカード横浜ビジネスセンター

研究委員会報告
報告1) 教職員の国際労働比較研究委員会
報告2) 学力研究委員会
報告3) 日本の伝統・文化理解教育研究委員会

パネルディスカッション 改訂学習指導要領を問う

■分科会
第1分科会報告「身近な教育実践交流~地域・家庭とつながろう~」
第2分科会報告「道徳教育と人権教育」
第3分科会報告「メディア・リテラシー教育」
第4分科会報告「日本の伝統・文化理解教育」


mineisensei3.JPGzentaikai6.JPG


 教育総研は2008年度の夏季研究集会を横浜のTKPコンカード横浜ビジネスセンターで7月26日(土)と27日(日)の両日に開催した。参加者は130名を超え、初日の全体会、二日目の分科会ともに熱心な議論が交わされた。

 全体会はまず高橋睦子教育総研副所長の挨拶から始まり、続いて、教職員の国際労働比較研究委員会、学力研究委員会、日本の伝統・文化理解教育研究委員会の研究成果の報告がそれぞれ池田賢市委員(中央大学)、小笠原喜康委員(日本大学)、千本秀樹委員(筑波大学)から行われた。

 次に行われたのは「改訂学習指導要領を問う」と題するパネルディスカッション。まずコーディネーター役の嶺井正也所長が学習指導要領の基本的性格や歴史、論点、今次改訂の特徴を話した後、桂正孝さん(宝塚造形芸術大学)が①今次改訂の主な狙い、②改訂の背景にある政策的理念と手法、③改訂の主な特徴、④改訂の行政上の問題点と実践的対抗軸という柱で問題提起。とくに②については(イ)新自由主義―市場原理主義、「消費者(学習者)主権」論、NPM理論(PDCAサイクル)、国際貢献、(ロ)新保守主義―自民族中心主義、歴史修正主義、(ハ)国家権力の恣意的な公権的解釈のレトリックー日本と日本人、郷土と国、ネーションとステーツ、法とルール、道徳的価値と道徳性、があること指摘した。
 小学校教員として長谷川徳さん(新潟)、高木由紀さん(香川)、中学校教員として山門真さん(三重)が、今回の改訂について現場ではきわめて否定的なの受け止め方が強いことがめまぐるしく変わる教育課程行政に振り回されている実態、予算の裏付けにないなかで増やされる理科実験の問題点などを指摘。
 フロアーからはすでに先行実施されている実態、条件整備に関して具体的な数値目標が示されずむしろ教育内容統制だけが浮き上がる結果となった教育振興基本計画との関連など多様な問題点指摘が行われた。
 今後の課題として、日教組が作成した「人権教育指針」や「ゆたかな学びにむけて」を踏まえての取組みが確認された。

2008年8月20日